変動金利について

住宅ローン

変動金利を知っているますか?

変動金利は住宅ローンの金利体系の一つで、金利が変らない固定金利と名前の通りに金利が変動する変動金利があります。

マイホームを購入した人の中には、不動産会社から変動金利を勧められた経験があると思います。返済のシミュレーションを見せられたり、固定金利よりもし張る金利が低くなりますよ、などと言われて。実際にデータなどを見せられればついつい納得してしまいがちです。

変動金利は金利の上下が生じるのも事実であり、金利が固定金利よりも下がることはあるでしょう。
しかし、あくまでも金利が低下する可能性があるという程度でしかありません。逆の可能性には全く触れてくれないのです。金利が高くなる可能性があることはあまり教えてくれません。
それはすなわち、固定金利よりも住宅ローンの破綻のリスクが格段に高くなってしまうこともあるということです。

確かに金利は低くなり、返済がし易くなる可能性はあるでしょう。お得になることもあるでしょう。
それでも甘言に惑わされるままに変動金利を選択してはなりません。
メリットも存在してはいますが、その裏にあるデメリット、また、住宅会社が事細かに説明をしてくれない、変動金利がなぜ生じるのか、変動金利にはどんなルールがあるのか、変動金利が抱えているリスクにはどのようなものがあるのか、を理解しなければなりません。

 

結論から言えば、変動金利と固定金利はどんな専門家であれ、どちらを選べばいいのか、ということに決着を付けることはできないものです。

変動金利を選択して絶対にいい、悪いというのは時間が経たなければ分からないもので、結果論でしかありません。

あくまでも参考になる程度のことしか紹介できず、絶対に安全確実なのはどちらかということは言えないので、最初にそれだけは理解の上で、自身が考える材料にしてください。

変動金利ってどんなもの?

変動金利は、ローンの返済における金利率が変動するものです。

常に変動するのではなく、定期的に金利の変動が生じるのです。
借入期間中に金利が見直され続けるので、返済をしている間中はずっと金利がどのくらいに変っているのか、ということに注意しなければなりませんね。

また、金利の変動は「短期プライムレート」という指標が基準にされています。
短期プライムレートは、金融機関が優良企業向けに、短期で貸し出す際に適用する最優遇貸出金利のことをいいます。

分かり辛いと思いますが、要するにお金を貸し出して問題が無い企業に対して、現状の一番いい金利を短期間、1年以内の期間で変えていくというものととらえて下さい。

しかし、最優遇とはいえ、絶対に安くなるわけではなく、上がる場合もあるし、下がる場合もあります。
そのどちらかが適用されるかで、金利が決定されるのです。
そして、短期プライムレートは国内情勢や景気に左右されるものになっています。

金利の変動期間は一般的には4月と10月であり、変動金利の金利が変動するのも、4月と10月になっています。

変動金利が独自に持つルール

変動金利には三つの独自ルールがあります。

  1. 年2回の金利の見直し。
  2. 5年毎の返済額の見直し(元利均等の場合)
  3. 返済額の増加は現在の支払額の1.25倍まで。

これだけを見ると、金利の変動は年2回と少な目なんだな、5年間も返済額は一定で支払い易いじゃないか、返済額も何倍も跳ねあがらないから破産する可能性も低いな、などという印象を抱きかねません。

第一のルールは上記の短期プライムレートの影響によるルールですが、以下の二つのルールに関しては独自に決められているものであり、他ならぬ利用者を守り、住宅ローン破綻を少なくするためにあります。

そのような印象を抱かせるためにあるものであり、そのような印象を抱いても仕方ないのですが、その裏に存在するリスクが存在することを理解しなければなりません。

金利が変動することによるリスク

上記の通り、短期プライムレートの影響のために4月と10月の年2回の金利の上下によって発生する金利の割合が決定されます。

しかし、金利の変動というものは毎月生じているものです。
例えば、毎月0.5%の金利が減少している場合は、4月から10月までには約3%が減少することになります。
しかし、9月までは0.5%まで下がっていても、10月に急激に2%も金利が上昇することもあります。
そうなると、金利は1%しか変りませんね。

このように4月と10月時点の金利率が適用されるものになっており、その間にいくら変動していようが変らないような仕組みになっているのです。

 

ここにどんなリスクがあるのかと言えば、利息の割合がどのくらい変化するかが全く予想できない点にあります。予想できるわけがありませんよね。これから確実に下がると言われても、未来のことが決定しているはずもありません。
半年後は確実に下がるかもしれませんが、さらに半年後には劇的に上昇していることだってあるでしょう。

それを初めから予見することは誰にとっても不可能で、常に分からない未来に自身の金利が左右されなければならないというのはどうしようもありません。

しかし、逆に言えばこの一点だけを考えるとそれしかリスクはありません。
分からないことは当然分からない、良くなる可能性があるのならそれに賭けたいと言う人もいらっしゃいますし、実際に金利が減る可能性もあるでしょう。

ただ、金利の上下が分からないことと、その変動が発生することは以下の返済額の見直しに置いて、多大なるリスクを生じさせる原因となるのです。

5年に一回の返済額の見直しがもたらすリスク

返済金額が5年に一回しか変わらない。こういうとメリットがあるように聞こえます。
低額で支払い続けられ、しかも5年間と長期間も持続するというのは非常に聞こえはいいです。

ただし、上記の通り変動金利は半年に1回は金利率が変動します。
金利は変動しても、返済額は5年に1回しか変更できないようになっているのですが、返済額が変らないのに金利が変化すると何が変わるのかというと、「返済額の中の元金返済分と利息の割合」が変わることになります。

 

極端な例ですが、一つ例を挙げてみましょう。
毎月の返済額が10万円で、10年間かけて返済をすると、利息分もすべて支払えるとしましょう。
この時に、元金返済分が8万円、利息が2万円だとローンを借りはじめたときにはこうなっていたとすると、この2万円分が半年に一回変動する金利となります。

半年後の金利率が下がるとこの利息分の金額が変わります。極端な場合ですと、半額の1万円になることもあります。
そうなった場合、10万円の支払いは変りませんので、減額された利息分、このケースだと1万円が元金返済分にプラスされて、9万円分の元金を返済できます。

元金の返済額が上昇すれば、当然元金が減り、ローンの返済も早くなりますし、発生する利息も少なくなります。
このような部分が、変動金利がお得になるなどと紹介される理由ですね。

 

しかし、逆のケースもあります。
金利変動によって金利が上昇した場合。このケースで2万円から3万円、1万円分の利息が上昇するだけの利息変動が起きたとしましょう。
すると当然、元金返済分の1万円が減少してしまい、7万円しか元金を返済できなくなってしまうのです。

金利変動で利息が上昇してしまった場合には、無駄な利息を支払わなければならなくなるだけでなく、元金の減少率が低下し、支払えなかった分が来月以降に繰り越されてしまうのです。

このような現象がたった1回だけで済めばいいのですが、問題はこの繰り越しが、5年間に1回しか返済額を変えられないせいで、長期化してしまうことです。
一度上がった状態でそれ以降下がらない、それ以降上がり続けるというような変動が起きていると年単位の返済の遅れが生じてしまうことになり、当初の返済予定やシミュレーションなどは全く役に立たなくなってしまうのです。

もちろん、利息が想定していたのよりも低くなれば、その分だけ次の5年間の返済額は安くなります。
しかし、その逆の高くなった場合には次の5年間の元金分の返済額が高くなってしまう、というリスクが存在することを知っておくべきでしょう。

住宅ローン破綻を起こさないためのルール

返済額の増加は現支払額の1.25倍までとなっています。

これは特に、利用者を守るための代表例のルールです。
五年間、半年に1回ずつ金利が上下に変動しますので、場合によっては返済額が大きく上がってしまうケースがあります。
大幅に返済が遅れている場合や、金利の上昇額が予想以上に跳ね上がっているようなケースですね。

しかし、高くなりすぎれば支払いが出来なくなる人が増えてしまうこともあります。
そうならないために、返済額の増加は現支払額の1.25倍と定めているのです。
しかし、このルールは逆に言えば、増加額が1.25倍にしかならないとも言え、それが思わぬリスクをもたらすこともあります。

 

変動金利の明確なデメリット

変動金利には明確なデメリットが三つあります。

金利の変動は予測不可能

一つは上述もした金利の変動が予測できないと言う点です。
金利がいつ、どこまで上昇するのかは誰にもわかりません。

いくら専門家といえども、正確にどのくらいになるかは分からず、金利自体が倍になる可能性もゼロではありません。

 

また時期も不確定であることも非常に大きなデメリットです。
時期によっては返済が難しくなることもあるでしょう。
その時期に金利が増額してしまうと、返済能力を越える返済額になり、返済が難しくなります。
このような先行きの不透明さが、非常に大きなリスクとなるのです。

 

変動する大きな理由は、国内情勢や景気ですが、それ以外にも変動する要因はあり、もしかりに変動金利を利用する場合にはその理由をいろいろと調べ、知識を深めておいたほうがいいでしょう

しかしそれでもリスクを完全に軽減することも、先を予想することも完全にはできないのが、大きなデメリットですね。

借入できる金額が大きくなることがある

固定金利の場合は、ローンをいくらまで借りるかを判断する際には、毎月の返済額を目安に決定し、この方法で決定した返済額は、自身の給料を元に決定されているので、固定金利で返済する場合には仕事を失わない限りは、失敗をすることはあり得ません。

変動金利の場合も多くの場合は給料から返済額を決定しますが、これでも失敗をしてしまう可能性があるのが変動金利です。

変動金利の場合は、固定金利と同様に金利率が決まっているのは最初の半年間しかありません。
上述した通りに上昇するケースもあるので、住宅ローンを契約した時点で金利上昇に備えておかなければ、かなり危険です。

中でも、返済額をかなりぎりぎりで設定している場合。
もし仮に、金利の上昇が大きく進行してしまった場合に、支払金額の半数以上が利息分の支払いになる可能性もあり、
そうなると大きな返済の遅れを生じさせてしまうことになります。

半分が金利になると、単純に返済期間が2倍になり、その期間分の利息も支払わなければならなくなるので、大きなデメリットになります。

自身が支払える額に限りなく近い場合にしておくと、上昇した場合に返済の遅れを生じさせるばかりか、後述のようなことを引き起こすことがあります。

未払い利息が発生する恐れがある

未払い金利は変動金利の最大のリスクであり、デメリットです。
金利の変動によって、場合によっては固定された返済額の殆どが利息になってしまうことがあります。
上記で例に挙げたものを利用すれば10万円の内の8万円が利息に当てられるというケースもあるのです。

しかし、かなり悲惨なケースに思えますが、まだマシな部類です。
最悪の場合には、返済額全てが利息に当てられるだけではなく、利息が返済額を越えることもあるのです。

利息は基本的に数%程度となりますが、元金も何千万円という多額になるために、数%でも返済額の数万円から十数万円程は越えてしまうことは容易に起こり得ます。
そして、利息が元金以上になってしまうと返済は行われるものの、元金は一切減りませんし、発生して支払いきれなかった金利は払いきれなかった利息として残り、次回以降に積み重ねられていきます。

これが未払い利息というもので、自然に解消することはできません
解消するには一括での清算、月の返済に上乗せをして、分割で清算をする、月の返済を未払い利息にあてて、未払い利息を優先して清算するなどができます。

ここで尾を引くのが、返済額の見直しを行ってもたった1.25倍にしかならないと言う点です。もう少し上昇額が高ければ、自然に解消することもできたかもしれませんが、それも不可能なのです。

また、未払い利息の返済方法は金融機関ごとに異なっていますので、どうやって返済するかは事前にチェックをしておかなければなりませんね。

また、未払い利息が発生したら早いうちに返済をしておかないと元金を完済したときに、未払い利息が残っていると最終返済に一括で請求されることもあり、それが原因で破産することもありますので、注意しましょう。

 

注意しなければならないことに一つ付け加えなければならないことがあります。
変動金利を選択する以上は、金利が変動することを知っているとは思いますが、中には半年ごとの金利のチェックをしない人がいるのです。

この変動を知らないままに、毎月同じ金額を支払続けて、5年経ってやっと未払い利息が発生していることを知る、なんてことも起こりうるのです。
知らない間に未払い利息が発生して、最後の最後に元金全てを返したはずが、利息のせいで受託ローン破産、なんてことにならないためにも、半年に一度のチェックは必ず行わなければなりませんね。

面倒だと思うのなら、悪いことはいいません。変動金利は止めておいた方がいいでしょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。最後にルールとデメリットをおさらいしておきましょう。

  • 年2回の金利の見直しがある。
  • 返済額は5年に1回しか見直すことができない。
  • 返済額の増加は現支払金額の1.25倍まで。

 

デメリットは

  • 金利の上昇がいつどのくらいか予想できない。
  • 借入金額が多額になり易く、利息の増加で身の丈に合わない借入になってしまう。
  • 未払い利息が発生してしまいやすいこと。

未払い利息は特に注意をしなければなりませんね。

この未払い利息が他でもない住宅ローン破産を引き起こす原因となりますので、変動金利を利用している最中は、常に金利のチェックを行わなければなりません。

 

金利が低くなることは実際にあることですが、住宅会社などが勧める場合には、金利が上昇する可能性をほとんど説明してくれず、この危険性を良く知らないままに契約をしてしまう人もいるようです。

しかし、変動金利の仕組みやルール、デメリットやリスクをきちんと把握しておかないと、後程必ず損をしてしまいます。
理解した上で、自分に合っているかどうかを確かめて選択するようにしましょう。

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