頭金なしで住宅購入する際のリスクは?

一戸建てを購入する時に頭を悩ませるのが頭金の問題。まとまった金額が一度に出ていくことになるため、頭金としてどの程度を支払うかというのは難しい問題です。

最近では、「頭金なし」と書かれた不動産広告を見かけるようになりました。もし本当に頭金なしで住宅を購入することができれば、購入時の負担が少なく、楽に見えます。
しかし、本当に「頭金なし」は楽な方法なのでしょうか?

「頭金なし」のリスク

「頭金なし」の広告は一戸建てや新築に限らず、マンションなどでもよく見かけます。初期費用が抑えられる上に、月のローン返済額が家賃と同程度になると説明されていることが多いです。
家賃と住宅ローンの金額が同程度であるならば、最終的に住宅が手に入る「頭金なし」物件のほうがお得に見えます。

しかし、頭金を払わず、全額ローンで住宅を購入するのは高リスクです。

頭金なしの住宅ローンを考える際に、思い出したいのが2007年頃から起きたサブプライムローン問題です。
サブプライムローンは、信用度があまり高くない、一般の住宅ローンの審査に落ちてしまうような人向けの住宅ローンでした。その結果、ローンの返済が滞ったり、返済できなかったりする人が続出してしまい、結果的に不良債権化してしまいました。

住宅ローンの返済が難しくなった場合、住宅を売却して、その売却額を残りのローン返済にあてることになります。
しかし、サブプライムローンは住宅価格が上昇していくという甘い認識の下で考えられたシステムだったため、住宅を売却してもローンを返済しきれず、返済が不可能になってしまったという問題に対応できなかったのです。

サブプライムローン問題から考えるべきなのは、ローン途中で家を売却した時の売却価格と、残りの返済金額の問題です。

住宅資金を全て住宅ローンでまかなった場合、頭金がある場合に比べ、家の売却価格が残りの返済額を下回る可能性が高くなります。
他にも、ローンの金額が大きいほど、変動金利の影響が大きくなったり、支払う利息も大きくなったりするなどの問題があります。

頭金はどの程度必要か

一般的に、頭金は住宅価格の2割必要と言われています。

頭金が2割ということは、住宅を購入した段階でローンの返済が2割終わっているという風に考えることもできます。その上、その2割に利息がないことを考えると、さらにお得であることが分かります。

やむを得ずローンの返済途中で住宅を売ることになってしまった場合も、頭金がある場合の方が、家の売却で残りローンをカバーできる期待が高くなります。また、月の返済額も少なくなるため、売却ではなく賃貸を選択した場合でも、家賃収入でローンの返済をカバーできる可能性が高まります

ただ、頭金として2割というのは、あくまで目安でしかありません。
物件価格は社会や経済の影響を大きく受けます。また、中古住宅を購入して売却するよりも、新築住宅を中古住宅として売りに出す時の方が価値の下落は大きくなります。

まら、住宅ローンの目安についても、年収の5倍までが妥当と言われています。それ以上のローンは返済のリスクが大きくなり、毎月の負担も大きくなってしまいます。

事前のシミュレーションが重要

月々の返済額や頭金については、ローンを組む前に必ずファイナンシャルプランナーに相談し、シミュレーションを行いましょう。
頭金なしの場合や、2割、1割など条件を変え、毎月の負担やもしもの時のリスクを比較することが大切です。

住宅ローンを組むことは、基本的に多少のリスクを抱えることになります。頭金が多いほどリスクが少なく、万が一住宅を売却した時に、逆ザヤになってしまう心配も少なくなります。

家を買うとなると、どうしても夢のある話が多くなりがちですが、ローンを返済できなくなった時のことや、売却する時のことなど、万が一の事態についても考えておく必要があります。